適応障害 adjustment disorders
標準精神医学 第3版 医学書院 より抜粋
1)成因
適応障害とは、重大な生活上の変化、もしくはストレスフルなライフイベント
の結果に適応しようとする時期に起こる主観的苦悩と情緒障害である。スト
レッサーは、個人ばかりでなくそれが属する集団を巻き込む場合がある。
2)症状
社会的機能や活動を妨げるような主観的苦悩、情緒障害である。症状は
抑うつ気分、不安、心配などに加え、順応できない、将来設計ができない、
現状を続けていけない、などの情緒障害。さらに毎日の仕事をこなしていく
ことにも一定の困難さが出てくる。
症状は多彩。同時にいずれの症状も単独で特異的な診断を確定するほど
著名でも重篤でない。
3)経過と予後
ストレスフルな出来事の発生や生活上の変化から、1ヶ月以内に発生し、
遅延性抑うつ反応の例外を除けば、持続は普通6ヶ月を超えることはない。
上記例外に関しては、2年以内の軽症抑うつ状態の持続が認められる。
4)診断
1.症状の形式、内容、重篤度
2.病歴と人格
3.ストレスフルな出来事、状況もしくは生活上の危機
上記、相互関係を慎重に評価する。とくに第三の項目の存在の明確化
が必要である。
5)治療
抑うつ気分・不安:程度により抗うつ薬や抗不安薬を投与。
この障害の特質が、個体のストレスに対する脆弱性であるから、
広義の精神療法を駆使してストレス耐性を改善する努力がなされるべき
である。
ストレス因を早期に除去するための環境調整も必要である。
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